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WAX ING

その昔ワックスは生塗りが当たり前

Toko

スキーヤーやボーダーにとってワックスがけというのは面倒なものです。その昔、ワックスは生塗りというのが当たり前でした。Tokoのレッドやイエローを、駐車場とかゲレンデの端とかで滑る前に板にゴリゴリこすり付けるんです。コルクなんて持ってる人はいませんでしたから、ソールはワックスでデコボコでした。雪がくっつかなければ良いといったレベルだったのでそんなんで十分だったんです。

銀パラは最低

そういえばTokoにはオールラウンドの銀パラ(上の写真の中央)なんてのがあって、名前の通り銀色をしてるんですが、これがソールの傷に入ると、もう取れなくて最低でした。

ベースワックスを考えた人は天才

そのうちにベースワックスなるものが登場して、ホットワックスというのが一般に広まりました。なんでもワックスの需要を増やすためにTokoの社員が考え出した秘策だそうで、実際Tokoの売上は一気に増えたそうです。ベースワックスというネーミングが絶妙ですよね。なんか下地用に塗らなければいけないみたいな。その頃、ベースワックスは一回塗ればシーズン中ワックスがけは不要なんてこともまことしやかに言われてました。まるで車のノーワックス加工みたいに。しかし、この頃のベースワックスは単なる保護ワックスで今の下地ワックスとして使うものとはまったく別物でした。そういえばパッケージには輸送用みたいなことが書いてありました。

ホットワックスは命がけ?!

ワクサー

その頃のホットワックスは、電気のワックスアイロンなんて市販されてませんでしたから固形燃料(スイスメタ)を使うコンロのうえにコッヘル(鍋)をのせて火をつけてワックスを溶かしそれを刷毛で塗るというのが普通でした。今思えば、ソールを温めないのですからワックスなんてしみこみませんよね。それから、直火式のコテ、電気式のアイロンが出てくる前みたいに、固形燃料を直接コテの上で火をつけて使うタイプでした。ショップなんかではガストーチの先にアルミや真鍮のこてが付いたもので火をつけてゴーゴーいわせながらワックスがけしました。下手するとソールが焦げちゃうんですよ、直火を使うので命がけでした、ほんとドキドキしながら塗ったのを覚えています。

ワックスアイロンのさきがけはナショナル?

ワックスライダー

電気式のワックスアイロンで大ヒットしたのはナショナルのワックスライダーという商品でした。ワックスを溶かす溶解槽(Tokoのベースワックスが一片ちょうど入る大きさ)が付いていて、ボタンを押すと解けたワックスが下の穴から出てきて、そのままワックスを塗ることができるという画期的なものでした。ただ、この商品、アイロンとしてはすぐに使えるのですが、溶解槽のワックスがなかなか解けなくて、しかも解けるのを待ってるうちに下の穴からワックスが染み出してきちゃって、ワックスが溶けた頃には半分くらい無くなってるという欠点がありました。結局、溶解槽は役に立たず、今のシンプルな形に落ち着いたみたいです。

ホットワックスは面倒くさい

そんなこんなで、チューンナップ作業に付随して昔からホットワックスをかけ続けてきたのですが、ホットワックスが面倒くさいのは変わりません。何しろ数が多いので、塗るだけならまだいいのですが、落とす作業(スクレーピング)は特に面倒です。何とか楽にできないかといろいろ試しました。まず、液体ワックスやペーストワックスといったイージーワックス。各ワックスメーカーから業務用としていろいろなものが出ています。それだけ同業の皆さんも苦労されてるわけですね。イージーワックスは簡単でそこそこ滑るし悪くはないんですが、仕上がりが悪いです。ワックスが塗ってあるように見えません。仕方ないので次に、ホットワックスを簡単に落とす方法を考えました。回転するスコッチブライトのドラムでこすってみたら、これが2本までは、すばらしく調子が良いんです。でも、ワックスで目が詰まってしまい3本以降はぜんぜんダメでした。回転するブラシも試してみましたが、ワックスには歯が立ちませんでした。やはりブラシは磨くものですね。

ホットワックスには敵わない

ワクシング

結局、いろいろ試して判ったことは、ホットワックスには敵わないということです。手抜きをしてもうまくいきません、基本どおり、アイロンで塗り、ゆっくり冷まして、スクレーパーで落としてからブラシをかけるのが一番です。

ワックスはしみこませてナンボ

ホットワックスを丁寧にかければ、生塗りやイージーワックスよりも効果が持続します。ホットワックスのほうがより多くのワックスをソールにしみこませることができるからです。やはり、ワクシングのポイントは「滑走面にワックスをいかにしみこませるか」であるといってよいと思います。ワックスはしみこませてナンボです。どんなに雪質にマッチしたワックスを塗っても、滑走面にしみこんでなければその効果を発揮できません。

ワックスのしみこみやすい滑走面を作るには?

ワッスクがしみこみやすい滑走面を作るためにストーンフィニッシュ(ストラクチャー加工)された滑走面を、さらにサンドペーパーでサンディングするということも行われています。カチカチにストラクチャーの入ったソールより、多少サンディングの目が残ったくらいのほうがワックスのしみこみが良いと思います。そのあたりのことは、河童クラフトのチューンナップに出していただければ解決すると思います。

ベース(下地)ワックスは必要

現在市販されている高性能な滑走ワックスにはほとんどフッ素が高配合されています。しかしフッ素は滑走面に浸透しないので、ベースとなるフッ素を含まないパラフィンワックスが十分滑走面に吸収されていないと、フッ素を含んだワックスは強く定着できません。高滑走ワックスの性能を十分に引き出すためには、必ず下地ワックス(パラフィンワックス)のワクシングが必要です。Tokoのベースワックスは、保管や輸送用の保護ワックスでしたが、ここで言うベースワックスは、下地つくりのための文字通りベースとなるワックスのことです。紛らわしいのでこれからは下地ワックスと呼びます。

 

ワックスを浸透させ滑走面を完璧な状態に仕上げるには?

使用したスキー・ボードはもちろん、新品のスキー・ボードの滑走面も目に見えないゴミや汚れがくっ付いています。まず、滑走面の汚れを取り除きましょう。

リムーバー

1、汚れがひどいときは、液体リムーバーを使います。その際、ペーパータオルをこまめに変えて汚れが拡散しないように気をつけます。

クリーニングワックス

2、次に、クリーニングワックスを使います。とてもやわらかいパラフィンワックスで、アイロンで塗ることで汚れがワックスの中に浮き上がってきますから、それをワックスがやわらかいうちにスクレーパーで取り去ります。簡単に済ませたい方はクリーニングワックスだけで下地ワックスにすることもできます。

極上下地仕込

3、完璧な下地のためには、次にパラフィンの滑走ワックスをイエローからレッド、ブルー、グリーンとアイロンで塗っては(ワクシングペーパー必須)冷めたらスクレーパーで落とす作業を繰り返します。

アンチBB

4、仕上げに、ANT-BBを同じようにアイロンで塗って少し冷めたら落とします。ANT-BBはとても硬いワックスなので、まだ少し暖かいうちにスクレーパーで落とすのがミソです。そして、完全に冷めてからブラシをかけます。

5、上記 3、4、の作業を2~3回くりかえします。これで、あなたの板の下地は完璧です。

ワックスフューチャー

この、一連の作業が面倒な方は、ワックスフューチャーをお試しください。ワックスフューチャーの3Xコースなら上記作業を10回以上繰り返したのと同等の効果があると言われています。

 

ワックスは宗教?
マツモトワックス ホルメンコール ガリウム スウィクス

「ワックスは宗教見たいなもんです」と言った方がいます。いわく、ガリウムを信仰している人にマツモトワックスへの改宗をすすめてもなかなか聞いてはもらえないと。つまり違うワックスを薦めるのは「仏教徒にキリスト教に改宗を薦めるようなもの」でかなり難しい。それは当たってるかもと思いました。

自分も、いろいろなメーカーのワックスを使いましたが、上質な(高価な)ワックスにおいては、メーカーによる差がそんなにあるとは思えません。値段勝負の業務用のワックスでは、メーカーごとの差は激しいですが

お店ではマツモトワックスを使ってます。

そんな中で、マツモトワックスのANT-BBというワックスとの出会いがワックス選定の決定打になりました。最初使った印象はあまり良くありませんでした。やたら硬くて扱いにくいんですが、すごくいい下地ができます。上にも書きましたがこつさえつかめば最高のワックスです。OVER・THE・BBもいいです。この二つのワックスの組み合わせはすばらしいです。私は今、下地用のワックスはマツモトワックスの信者です。